エアコンの効きが悪いと真っ先に疑うのがガス漏れなどの故障。
でも、「エアコンのガス漏れが原因かどうかの判断はどうやってするの?」って疑問に思いますよね。
エアコンの冷房や暖房が効かない原因には、他にもエアコン内部の汚れなどがあります。
私は仕事でエアコンクリーニングを約16年間やってきましたが、エアコンクリーニングをしたことで冷房や暖房が効くようになったケースも、ガス漏れが原因でエアコンクリーニングをしても改善しなかったケースもたくさん見てきました。
私の経験から、ガス漏れが原因で冷房や暖房が効かないケースと、内部の汚れが原因で効かないケースの見分け方をご紹介します。
エアコンのガス漏れの修理費用なども調べてみました。
エアコンの冷暖房が効かないのはガス漏れ?
エアコンから風が出てきているのに冷房や暖房が効かない場合、原因はほぼ次の2つに絞られます。
- エアコンの冷媒ガスが漏れている
- エアコンの内部が汚れている
どちらの原因かによって、対処法が違ってくるので修理を頼む業者も違ってきます。
エアコンのガス漏れが原因であればメーカーの修理窓口や購入・設置をした販売店、エアコン内部の汚れが原因であればエアコンクリーニング業者に依頼するのが一般的です。
もちろん、メーカーや販売店でもエアコンクリーニングをやっていたりもしますが、修理担当の人は基本的にエアコンクリーニングはやりません。やりたがらないと言ったほうが正しいかもしれません。
実際、私にエアコンクリーニングを依頼してこられたお客の中には、少なからず「メーカーの修理を呼んだら、まず業者に掃除してもらって」と言われたという方がいます。
なので、ガス漏れが原因なのか汚れが原因なのかの見分け方をご紹介します。
エアコン(冷房・暖房)のガス漏れを確認する方法
まずはエアコンのガス漏れを確認する方法をご紹介します。
大前提として、「エアコンの室外機が動いているか」を確認してください。
室外機が動いていないならエアコンの冷房や暖房が効かないのはガス漏れが原因ではありませんので。
エアコンが効かない原因がガス漏れの場合の見分け方
・室外機の配管の片方(上側)だけに白く霜がついていないか
まずこれを確認しましょう。
ガスが不足している場合は、室外機が運転中に上側の高圧側の配管のみが凍って白く霜が付きます。
ただし、冷房の運転開始すぐからおよそ10分ほどの時間は霜がついていても正常です。それ以上たっても霜が溶けて水滴に変わらないならガスが漏れて不足しているのが確定です。
水滴がついて濡れている状態なら正常だと判断できます。
エアコンが効かない原因が汚れの場合の見分け方
汚れが原因でエアコンの冷房や暖房が効かない場合は、室内機で判断できます。
判断方法は簡単で、吹出口の温度を確認します。
デジタルの温度計などがある場合は使うとはっきりわかりますが、アナログの室温計でも大丈夫です。
私は2箇所の温度を同時に計測できるデジタル温度計を使用しています。
わかりやすいようにエアコンの設定温度を夏場なら一番下がるところまで下げて冷房をかけます。冬場なら一番上がるところまで上げて暖房をかけます。
吹出口から風が出始めてから温度計を吹出口に3分程度かざしておけばOK。
汚れが原因で冷房が効かないのなら設定温度かそれ以下の温度まで下がるはずです。
暖房なら設定温度以上になるはずです。
汚れが原因の場合は、吹出口から風が十分出てこないことで部屋全体に冷気や暖気が行き渡っていないだけだということです。
もしガス漏れが原因で冷房や暖房が効かないのであれば、吹出口付近でもほとんど室温と変わらない温度の風しか出てきません。
エアコン(冷房・暖房)のガス漏れの原因は?
エアコンのガスが漏れて不足する原因は次の2つが考えられます。
- 工事の際の施工不良
- 配管の腐食による穴あき
ほとんどの場合は1つ目の施工不良が原因です。
エアコンのガス漏れは施工不良が原因
エアコンを設置する際には、配管のつなぎ目が最低4箇所以上できます。
エアコンの冷媒ガスの配管には銅管が使用されているのですが、接続部分はフレア接続と呼ばれる方法で接続されています。
このフレア接続の際に銅管を加工するのですが、その接続面にほんの小さな擦り傷や凹みがあるだけでガスが漏れてしまいます。
小さなキズの場合は長い年月をかけてゆっくりガスが漏れていくのですぐには気づきません。
2つ目の腐食による穴あきでガスが漏れている場合も、設置から長い年月が経ってからということがほとんどです。
さらに、腐食による穴開きが原因のガス漏れは、漏れている場所がどこなのか特定するのが難しいので、家庭用のルームエアコンだとエアコン自体を買い替えることになる場合が多いようです。
エアコンクリーニングが原因でガス漏れを起こすことはあるのか?
エアコンクリーニングが原因でガス漏れを起こすことはまずありえません。
もちろんエアコンクリーニング時に道具を配管にぶつけたなどの物理的な損傷があれば話は別ですが、それもほぼ考えにくいです。
銅管は柔らかい金属なので、よほど尖ったもので突かない限り、物を多少ぶつけたくらいでは穴があいたりしないからです。
強い洗剤で銅管に穴が開くということをいう人がたまにいますが、私の経験上でも周りから聞く限りでもそういった事例を聞いたことがありません。
エアコンクリーニングでは強アルカリの洗剤を使用するのが一般的ですが、洗剤メーカーが指定している希釈倍率(10倍~20倍)で使用して銅管に穴が開くということはまず考えられません。
エアコンのガス漏れで冷房や暖房が効かない時の対処法
エアコンの冷房や暖房が効かない原因がガス漏れなら、ただ不足しているガスを足すだけでは直りません。
- ガス漏れの原因を見つけて修理
- ガスを充填
この2つをセットでやらないと、またガスが漏れて同じことを繰り返すことになります。
エアコンのガスがどれだけ足りないのかを調べる方法は?
「エアコンのガスが減っているなら減った分だけ足せばいいんじゃないの?」
って思う人は多いと思いますが、基本的にはエアコンのガスは不足分だけの補充はできません。
そもそも、エアコンのガスがどれだけ減ったのかを調べる方法がないんです。
同様に、ガスがどれだけ残っているのかも調べることはできません。
唯一、方法があるとすれば、エアコンガスをすべて抜いてタンクに回収してその重量を測るくらいです。
圧力で大まかなガスの減り具合は推定できると言われていますが、諸条件で圧力は変わってくるのであまりあてになりません。
実際は、エアコンガスをすべて抜いて、その機種の指定されている量の冷媒ガスを全量充填することになります。
特にR410Aという種類の冷媒ガスは、追加禁止で全て抜いて真空引きして全量充填です。
中には勘で適当にガスを充填する業者もいるようですが、冷媒ガスは多すぎるとコンプレッサーという部品を破壊してしまうので、まともな業者ならまずやりません。
エアコンガスの充填は自分でできるの?
エアコンガスの充填をやろうと思うと、少なくとも下のような道具が必要になります。
- 冷媒ガス回収缶
- 真空ポンプ
- 新規充填冷媒ガス
- ロウ付け機材
- マニホールドゲージ・チャージホース
- デジタルスケール
- フレア機材
さらに回収した冷媒ガスは基本的に再使用はしないものなので、使用済みの冷媒ガスを業者に処分してもらわなければいけません。
今後エアコン設置業をやろうと思っている人以外はやめておいたほうが良さそうです。
素直に修理業者に依頼しましょう。
エアコン(冷房・暖房)のガス漏れの修理費用はいくら?
まず目安になる1kgあたりの冷媒ガスの価格は以下の通り。
- R22=3500円位
- R410A=6000円位
- R32=6000円位
あくまで1kgあたりの金額なので、規定量分必要になります。
大きな部屋用のエアコンほど高くなるわけです。
ちなみに規定量はエアコンの室外機の側面にある銘板シールに記載されています。
上の写真のエアコンの銘板を見ると「冷媒封入量 1.10kg」とあります。
冷媒ガスの種類はR410Aですね。
この場合、冷媒ガス代だけでおよそ6,600円必要になるということです。
ただ、他に修理に必要な部品代や技術料、出張費などもかかってきますから、実際はこの4倍~5倍くらいの修理費用が最低限必要になってきます。
メーカーに依頼した場合で3万円前後が相場。
メーカー別のエアコンガス充填の概算修理代は下のとおりです。
メーカーによってかなりバラツキがありますし、メーカーによって漏れ修理をどこまで含んでいるかも違うようなので、状況によってはかなり金額が違ってくる可能性があります。
メーカー | 概算修理代 |
パナソニック | 49,000円~58,000円 |
ダイキン | 13,800円~27,000円 |
三菱電機 | 11,000円~39,000円 |
日立 | 24,000円~26,000円 |
シャープ | 15,000円~30,000円 |
東芝 | 61,000円~110,000円 |
まずは何が原因でエアコンが効かないのかを自分でチェックして、なるべく余分な費用が掛からないようにしましょう。
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