ガス給湯器には、以前からある従来型とエコジョーズ型と呼ばれるものの2種類があります。
エコジョーズ給湯器は高効率給湯器などとも呼ばれ、その言葉の通りエコで省エネタイプの給湯器です。
しかし、実際に導入しようとすると、従来型の給湯器よりもかなり割高です。
ただでさえ突然の故障で出費を抑えたい時などには、本当にお得なのか余計に気になるところ。
今回はエコジョーズの特徴や、従来機からの買い替えのメリットなどを書いてみたいと思います。
ガス代が安い省エネのエコジョーズ給湯器とは?
エコジョーズとは、高効率給湯器などとも呼ばれるように、普通に蛇口をひねってお湯を使うだけで従来型の給湯器よりもガス代が節約できる構造を持ったものを言います。
初期のエコジョーズ給湯器は、蛇口やシャワーなどから出るお湯のみが省エネ運転の対象でしたが、現在のものは追炊きや暖房機能についても同様に省エネ運転ができるようになっています。
では、エコジョーズはどういった仕組みで省エネ運転をしているんでしょうか。
エコジョーズはもう一つの別名があり、「潜熱回収(せんねつかいしゅう)型」とも呼ばれています。
“潜熱”とはつまり、従来型給湯器ではそのまま捨てられていた排気の中に”含まれている熱”を、回収(再利用)して使う仕組みだという意味です。
実際、従来型給湯器の排気の温度は200℃程度であるのに対して、エコジョーズの排気温度は熱を再利用しているので50℃前後となっています。
150℃分の熱がエネルギーとして利用できたことになります。
では、どのくらいのエネルギー効率の違いがあるのかと言うと、熱効率という言葉を使えば、従来型が約80%~83%なのに対して、エコジョーズ給湯器は実に95%前後という数値になります。
約15%前後の熱効率の違いがあります。
自分の家の実際のガス代の省エネ額計算方法
熱効率なんて数値ではピンとこないと思いますので、わかりやすく実際にガス代に換算してみましょう。
ガスは寒い冬場ほど使用量が増え、夏の暑い時期は最も少なくなるのが当然で、季節による変動が激しい為、年間で計算する必要があります。
一般的には4人家族のモデル使用量として、年間に従来型給湯器とエコジョーズ型給湯器で節約できるガス代は、約15,000円程度で計算されることが多いようです。
自分の家にエコジョーズを導入した場合の実際に節約できる金額を出したいのであれば、過去1年間に支払ったガス料金を合計してそれに20%をかけてやると大体の節約額が出ます。
全体のガス料金のうち、給湯器が使う割合を20%として計算するということです。
なぜ20%かというと、ガス料金全体に占める給湯器の使用割合は約8割だと言われているからです。
あとの2割はガスコンロなどで使用しているものです。
意外に給湯器の割合が多いと感じるかもしれませんが、実は調理に使うガス代などは大した額にはならないものなんです。
今回は給湯器だけで節約できる額を算出したいので、コンロなどで使用するものは除外しているわけです。
モデルとなるガス使用量の場合、年間に節約できる額15,000円を給湯器の設計耐用年数10年間で掛けてやると、次に給湯器を買い換えるまでに15万円ものガス代を節約できる計算になるわけです。
私の経営しているお店の話で恐縮ですが、15万円あれば24号フルオートタイプのふろ給湯器(追焚き付給湯器のこと)を交換してもおつりがくる金額になります。
エコジョーズとエコフィールの違い
エコジョーズとよく似た名称でエコフィールというものがあります。
これは単に燃料とするものがガスであるか石油(灯油)であるかの違いです。
ガス給湯器の省エネタイプはエコジョーズ、石油(灯油)給湯器の場合はエコフィールという名称になっています。
エコフィールも今までの石油ボイラーの熱効率約83%が95%まで高められているので、ガスのエコジョーズとほぼ同等の省エネ性能を有しています。
ちなみに、ガスであれば都市ガスであってもプロパンガス(LPG)であっても同じくエコジョーズが高効率給湯器の名称になります。
エコジョーズ給湯器の価格と工事代の違いは?
エコジョーズ給湯器と従来型給湯器の本体の価格差は、約15,000円~25,000円くらいです。
もちろん、メーカーや機種、販売店などによって違いがあります。
工事代については、エコジョーズ機器から出るドレン排水の配管工事代が別途かかるので5,000円ほど高くなることが多いです。
なので、機器代と工事代などで約2万円~3万円くらいの差額を見ておいたほうがいいでしょう。
エコジョーズ給湯器のガス代はどれくらいお得?号数でいうと?
上にも書いたように、エコジョーズ給湯器に取り替えることでお得になるガス代は、家族構成や住んでいる地域の気候、機器の種類などによって大きく変わることがあるので、自分の家の実際の過去12か月間のガス料金から計算してやると一番正確にお得になるガス代が導き出せるのではないでしょうか。
従来型の給湯器とエコジョーズ給湯器の省エネ性能の差は、号数でいうとだいたい4号ぶんに相当します。
例えばエコジョーズの24号は従来型(非エコジョーズ)の20号とほぼ同じガス消費量です。
なので、従来型の24号からエコジョーズの24号へ取り替えた場合は、24号の湯量でガス代は20号ぶんしか消費しないということです。
同様にエコジョーズの20号は従来型の16号相当のガス消費量で、エコジョーズの16号は従来型の12号と同等のガス消費量ということになります。
エコジョーズ給湯器のドレン排水の配管は必要なの?
エコジョーズ給湯器からは、ドレン排水と呼ばれるお水が出ます。
ドレン排水のお水が出てくるのは、ガス給湯器が動いている時、つまりお湯を出している時、追炊きをしている時、暖房機能が付いているのであれば暖房を使っている時にしか出ません。
常に出ているという訳ではないですが、結構ジョロジョロとたくさん出てくるものなので、バケツなどの容器に水を受けるような設置はしてはいけない事になっています。
必ず雨水か汚水の排水管や排水経路に接続することが求められているので、垂れ流しなどにしてはいけません。
マンションなどの集合住宅では、このドレン排水の処理が難しいことが原因で、従来型からエコジョーズ型への取替工事はほとんど行われていません。
ドレン配管が出来ない構造のマンションでもエコジョーズを設置できるように、特殊なエコジョーズ給湯器も一応販売されています。
ところが、通常のエコジョーズ給湯器への取替えと比較して、非常に高額になるためにこちらも全く普及していません。
給湯器自体が特殊で高価な上、浴室内に専用の装置を設置しなくてはいけなかったり、浴室の壁に新しく穴を開けないといけなかったりと、余計な部材代や工事代がかかるため、結果非常に高価になってしまうのです。
恐らく普通にエコジョーズを設置するよりも最低でも5万円以上、ほとんど10万円に近いくらいの余分な出費がかかります。
その上施工には条件があるため、多少高くてもいいからエコジョーズを設置したいと思っても出来ない事もあります。
参考記事⇒マンションにエコジョーズ給湯器を設置する費用は?差額はいくら?
エコジョーズ給湯器はノーリツやリンナイなどで違うの?
エコジョーズの仕組みはどこのメーカーでもほとんど同じなので、ノーリツであろうとリンナイであろうと省エネ性は変わりません。
ほかにも、パロマやパーパス、長府などがガス給湯器を販売していますが、どのメーカーとも熱効率95%をうたっていて、能力的にもほとんど変わりません。
ただ、日本国内の給湯器のシェアをみると、ノーリツとリンナイがほぼ半々で全体の80%以上を独占しているので、実際の購入価格的にも信頼度的にも、ノーリツとリンナイの2社が圧倒的に有利だといえます。
参考記事⇒給湯器専用機はどのメーカーのどの機種がおすすめ?
参考記事⇒ふろ給湯器の種類は?おすすめのメーカーや機能の違いは?
参考記事⇒床暖房や浴室暖房ができる給湯器のおすすめは?暖房給湯器の選び方!
エコジョーズ給湯器にすると補助金がもらえる?ガス代以外のメリットは?
エコジョーズ給湯器は、10年程前までは設置後に申請することで補助金が数万円出ていましたが、現在ではありません。
とは言え、10年前の補助金が出ていた頃に比べると大幅に販売価格が下がっているので、むしろその頃より購入価格などの導入費用は大幅に下がっています。
現在の販売価格をみると、かなり安く出回っていますので、今後これ以上大幅に下がることは無いと思います。
現在は、ガス代以外に金銭面でのメリットは無いようです。
ガス供給会社、特に大手の都市ガス供給会社は、エコジョーズ機器の設置を申請すれば、2~5%程度の割引を受けられる料金プランを設定している場合が多いので、必ず申し込むようにしましょう。
これからは給湯器にエコジョーズ以外はなくなる
エコジョーズという名称で潜熱回収型ガス給湯器が登場したのは2002年10月です。
登場からもう15年以上が経過しており、故障などによるエコジョーズ機器からエコジョーズ機器への取替もよく出てくるようになりました。
2010年6月には、ガス機器メーカーやガス関連団体によって「エコジョーズ化宣言2013」が表明されました。
全てのガス機器メーカーからエコジョーズ給湯器がラインナップされており、特別設置上の制約が無い限りほとんどの方がエコジョーズ機器を選択されているのが現状です。
ところが、集合住宅の既設従来型給湯器をエコジョーズに交換するのは、現状では費用的にかなり負担が大きい為、全くと言っていいほどエコジョーズ化が進んでいない状況です。
更に、古い集合住宅に多いバランス釜や、小型瞬間湯沸器などのような手動や乾電池で駆動するものについては従来型しか販売されていない為、すべてのガス給湯器がエコジョーズに置き換わる訳ではありません。
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