ガス給湯器に限らず、何かものを購入しようと思った時、やっぱり安いほうがいいと思うのが心情ですよね。
人の心理、特に日本人の心理として、3段階の価格の選択肢があると、ほとんどの人は真ん中の価格のものを選ぶのだそうです。
出来るだけ安いほうがいいけど、一番安いものを選ぶのは失敗しそうだからという理由でしょう。
他にも一番安いものを選ぶと恥ずかしい、といった見栄の部分もあるようです。
給湯器を交換する際にどの業者を選ぶかを決める判断基準も、やはり金額の安さだけではありませんよね。
でも、一つだけ言えることは、高い業者に頼んではいけないということです。
販売と工事をする立場から、高い業者に頼まないほうがいいという理由をご説明します。
結局は同じ給湯器を取り付ける工事
工事代が高い見積りの業者と、安い見積りの業者を比べた時、どちらがいい仕事をしてくれるだろうかと聞かれたらどちらだと答えますか?
改めて質問されるとどちらともいえないと思いつつも、やはり高い見積りのほうがしっかりした工事をしてくれそうな気がしてしまいませんか?
実際のところは、ほとんど見積りの金額と工事内容の良し悪しは関係ありません。
「安いところは手抜き工事なんじゃないか」と思ってしまいがちですが、そんなことはないんです。
結局のところ、給湯器はどこで購入しても同じなので、安いところで購入したからと言って、調子が悪かったりすることはありません。
いわゆるB級品なんじゃないのか、といった心配をする人がいますが、そもそも安全性を重視する給湯器のB級品なんて出回っていませんから。
それではなぜ見積り金額と工事内容の良し悪しが関係ないのかというと、見積りが高いからと言って、工事をする人間が直接利益を得られる訳ではないからです。
給湯器の交換工事は、ガスの資格はもとより水道の資格や、場合によっては電気の資格も必要となります。
色々な決まりのもとで、法律上の基準を満たした部材などを使用するわけですから、必然的にほとんど同じ工事内容になるはずなのです。
あとは、工事する作業者の質が工事内容を左右することになるのですが、有資格者が決まりを守って工事するという前提であれば、確実な工事をするかは作業者の性格も含めた技術の問題なので、見積り金額とは全く関係ないですよね。
高い見積りと安い見積りの差額というのは、工事に使う材料の質や部材の量の差でもありません。
単純に利益の差なのです。
厳密に言うと粗利なので、その中には社屋や倉庫の費用、事務員の給料などいろいろな費用が含まれている訳です。
ネットでの取引が盛んになった今、給湯器の仕入れ値などは、大きな会社でも個人事業主でもほとんどかわりません。
見積り金額の中にはこういった固定の費用が含まれているということから考えても、大きな会社ほど見積り金額が高くなる傾向があります。
高い見積もりのほうが無資格施工が多い
資格には「施工者資格」と「監督者資格」という区別があります。
「施工者資格」というのは資格をもった人だけが工事をすることができる資格。
対して「監督者資格」というのは、資格保持者が帯同していれば無資格者が工事してもいいですよ、という資格です。
給湯器交換に必要な資格は、施工者資格と監督者資格が入り混じっているのですが、現場ではどうしても資格がない者が資格の必要な作業をしてしまうということが横行しています。
個人的には、仕事を覚えていく上でこれは仕方のないことなので、あまり問題ではないと考えています。
問題なのは、それが常態化して、最終的に無資格者だけで工事するようになることです。
私は大手都市ガス供給会社のサービスショップに努めていましたが、私もそういった経験がありました。
無資格だったり十分な経験や知識が無かったりすると、再使用してはいけないと決められている部材を再使用したり、やらなければならない検査や手順、確認をとばしてしまったりすることが考えられます。
大手の業者、例えば東京ガスや東邦ガスなどのガス供給業者の看板を掲げているサービスショップの施工であっても、施工資格を持たない社員が実際の工事を施工してしまっていることは往々にしてあるということなんです。
えてしてガス供給会社系の業者は給湯器交換の見積りなどが高いもの。
だからといって正しい施工方法で施工しているかというと、全くそうではないし、逆に他のガス工事業者よりもいい加減な部分が多かったりするんです。
逆に個人でやっているような小さな業者は、もし無資格であることがバレれば営業を続けていくことができませんし、有資格者であっても下手な工事をして悪い噂が広まればすぐに経営が成り立たなくなるなど、ごまかしが効かないのでかえって安心だったりするものなのです。
そういった意味で、工事の質というのは、大きい会社だとか高い見積りだから良いということではなく、工事をする会社の体質や作業者の性格によるところが大きいと考えるべきなのです。
見積もりが高いほうが結果的に割安?
高い業者に頼んでおけば、あとあと何かあった時にすぐに来てくれるから結果的に安心でお得、なんて思っている人がいます。
ほんとにそうでしょうか?
最近の給湯器は非常に壊れにくくなっていて、余程調子の悪い機械に当たらない限り、寿命といわれる10年前後まで故障することは少ないです。
高い金額を払って給湯器を交換してもらったとしても、実際に故障した時に来てもらえば当然有料ですし、現在のマイコン制御の給湯器の修理は、部品を取り寄せてからしか修理ができないことがほとんどです。
メーカーに修理依頼した場合でない限り、来てもらったとしてもその場で修理できることは殆どありません。
あるとしたら部品の掃除で治ることだったり、コンセントの抜き差しで治ることくらいです。
ご近所で昔から付き合いがあるからといったシガラミでもない限り、高い見積り業者を選択するメリットはないのではないでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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