カビに強いエアコンはどれ?カビ予防機能を比較してわかったおすすめ機種は?

「エアコンがカビだらけなんだけど、掃除を頼むよりカビにくいエアコンを購入したほうかいいかな?」

「エアコンを買い替えることにしたんだけど、カビに強いエアコンはどれ?」

「カビにくいエアコンの機種を知りたいんだけど」

10年近く使っている古いエアコンだと、カビを取るためにエアコンクリーニングで1万円~2万円近く払うより、カビのつかないエアコンに買い換えたほうがいいんじゃないかと悩む人も多いと思います。

私はエアコンクリーニングを仕事として16年間やってきましたが、メーカーや機種によってカビやすさに違いがあるように感じています。

気密性の高い家が多くなってきてエアコンにカビが生えやすくなったこともあり、特に最近は各メーカーが競ってカビに強い機能を付けてきています。

それだけエアコンのカビに困っている声が多いということですね。

メーカー別のカビ対策機能を比較して、おすすめの機種をあげてみました。



カビに強いエアコンとは?

エアコンでも浴室でも、カビの発生しやすい条件というのは同じです。

まずはカビに強いエアコンとはどんなものなのかを理解しておく必要があります。

カビの発生条件

カビの発生しやすい条件を確認しておきましょう。

カビの繁殖条件

カビの繁殖しやすい条件は以下の3つの条件がそろった環境です。

逆に言うとこの3つのうち一つでもそろわなければ、カビは繁殖しにくいということです。

温度:5℃~45℃(特に20℃~28℃で活性が上がる。28℃前後がピーク)

湿度:60%~100%(特に80%以上で激増)

栄養:ホコリや皮脂などのエサと酸素

カビのはえにくいエアコン

上であげたカビの繁殖条件を避ける機能がついているものが「カビの生えにくいエアコン」だと言えます。

各メーカーがいろいろな機能でカビにくいエアコンを開発しています。
エアコンのカビにくさに影響のある機能は下のようなものがります。

  • フィルター自動お掃除機能
  • 熱交換器の防汚コーティング
  • 送風ファンのお掃除ブラシ
  • 熱交換器の乾燥機能
  • 熱交換器の結露水洗浄機能
  • イオンや電気での殺菌・除菌機能

フィルター自動お掃除機能

フィルター自動お掃除機能は、これ自体がカビを防いでくれるわけではありません。
フィルター自動お掃除機能はフィルターのみをお掃除してくれるだけの機能だからです。

フィルターが目詰まりしていることで、エアコン内部の湿気が蒸発しずらくなることと、フィルターに付いたホコリが湿気を含んでしまうことでカビやすくなります。
フィルター上に常にホコリがない状態にしてくれることは、カビ予防に有効です。

ただ、お掃除機能付きエアコンのフィルターは目が細かいので、それだけで湿気がこもりやすいというデメリットもあったりします。

熱交換器の防汚コーティング

最近は、熱交換器(アルミフィン)の表面に汚れがつきにくいコーティングがされている機種が多くなっています。

地味な機能なので見過ごしがちですが、ホコリや汚れがつきにくいコーティングはカビ予防には効果絶大だったります。

私は以前、おそうじ本舗の店舗経営をしていましたが、おそうじ本舗のエアコンクリーニングのオプションにある「チタンコーティング」には防汚機能、帯電防止機能があって、目に見えてホコリが付きにくいのを実感していました。

送風ファンのお掃除ブラシ

送風ファン(クロスフローファン)のホコリをブラシでかき取る機能が付いたエアコンが存在しています。

日立の「白くまくん」にしかない機能で「ファンロボ」という名称が付けられています。
2020年モデルまでは最上位グレードにしか搭載されていませんでしたが、2021年モデルからは3シリーズに搭載されるようになりました。

エアコンの中で一番カビがひどいのが送風ファンなんですが、ここの汚れを物理的に取り除く機能は、カビ予防にかなり効果があるはずです。

熱交換器の自動乾燥機能

冷房を停止したあとなどに、暖房運転と送風運転を繰り返して、熱交換器や送風ファンと吹出口などのエアコン内部を乾燥させる機能です。

最近は各メーカーがこの乾燥機能を強化しています。

熱交換器の結露水洗浄機能

もともと熱交換器というのは、冷房や除湿の際に結露して水が流れる構造になっています。

防汚コーティングとあわせて効果を発揮しますが、通常運転時よりも結露を多く発生させて、汚れが流れやすい構造にしています。

ダイキンのように、屋外の空気中の湿気を室内機に取り込んで洗浄効果を高めているものや、日立のように、凍結させて結露水を極限まで増やして洗浄効果を高めているものなどがあります。

イオンや電気での殺菌・除菌機能

シャープのプラズマクラスターイオンや、ダイキンのストリーマ、パナソニックのナノイーXなど、各社独自の付加機能でエアコン内部のカビを殺菌・除菌したり、抑制したりする機能です。



メーカー別エアコンのカビ対策の比較

各メーカーのエアコンが搭載しているカビが生えにくくなる機能を比較してみます。

同じメーカーでもグレードや機種によって搭載していない機能もあるので、購入する際は必ず確認するようにしてくださいね。

パナソニックのカビ対策機能

パナソニックの特徴は「ナノイーX」を使用した除菌機能です。

ホコリの付きやすい熱交換器のアルミフィン切断面にも、汚れを付着させない「ホコリレスコーティング」がされています。

「ナノイーX」内部クリーン 冷房・除湿の運転終了後に熱交換器を高温加熱して乾燥させてカビの成長を抑制します。
ナノイーXはOHラジカルで除菌するもので、油分の分解や低減もしてくれます。
「ナノイーX」は同社の「ナノイー」の10倍の4兆8,000億個のOHラジカル量。
カビみはり 温度と湿度を自動的にチェックして、カビが成長しやすい条件が12時間以上続くと、自動で「ナノイーX」内部クリーンを作動させます。
「Ag+除菌」フィルター Ag+(銀イオン)をコーティングしたフィルターでホコリに潜む菌を除菌します。
熱交換器コーティング
・ホコリレスコーティング

熱交換器のアルミフィンの切断面をコーティング。親水性と油を弾く効果でホコリや汚れの付着を防ぎます。

熱交換器コーティング
・親水コーティング
熱交換器のアルミフィンのコーティング。水を弾かないことで汚れを流しやすく付着しにくくします。

送風ファンコーティング

国際基準に準拠した防カビ処理を施し、帯電効果でホコリや汚れを寄せ付けない防汚・防カビコーティング。

ダイキンのカビ対策機能

ダイキンは「ストリーマ」と呼ばれるプラズマ放電を利用した除菌が特徴です。

ストリーマの有害物質分解力は、約10万℃の熱エネルギーに匹敵するそうです。

「ストリーマ」内部クリーン プラズマ放電の一種であるストリーマが高速電子を放出して、カビ・ウィルス・細菌・アレル物質といった有害物質を分解します。嫌なニオイも抑える効果があります。
状況によって加熱乾燥も行います。
水内部クリーン
・加湿水洗浄
加湿水洗浄は主に冬場の暖房利用時でも無給水で熱交換器を水洗いするための機能です。
水内部クリーン
・結露水洗浄
急激に室内の空気を冷やして結露水を大量に作って熱交換器を水洗いする機能。
約14畳の部屋で1時間で最大1リットルの結露水を作り出します。
水de脱臭

加湿することでニオイ分子を浮き出させたあと、除湿することでニオイ分子を回収して部屋内を脱臭する機能。

セルフウォッシュ熱交換器 高耐食皮膜をコーティングした上、親水性の高い塗料を塗布して汚れを洗い流しやすくした熱交換器。
上位機種に搭載。

クリアコート熱交換器

親水性に優れた2層の被膜コーティングで汚れを浮かせ、結露水で洗い流しやすくした熱交換器。


三菱電機のカビ対策機能

三菱電機のエアコン「霧ヶ峰」は、独自の抗菌・除菌システムはないものの、お手入れがしやすい構造にすることで、カビを抑制しやすくし且つ除去しやすくしています。

エアコンクリーニングのお客さんの中には、「自分でお掃除しやすいように作って欲しい」という人が結構います。

できるだけ自分できれいに掃除したいと考えている人には、三菱電機のエアコン「霧ヶ峰」は一番おすすめのメーカーです。

抗菌・撥油フッ素フィルター フッ素加工を施したエアフィルターでエアコン内部に埃や油を侵入させないようにします。
抗菌・金属コートフィルター 金属表面加工を施したエアフィルターでエアコン内部にホコリや油を極力侵入させないようにします。
防カビエアフィルター カビ菌が繁殖するのを防ぐ処理を施したフィルター。
よごれんボディ

熱交換器やファン、フラップ、通風路などにホコリや油が付着しにくく特殊加工したもの。

清潔コート熱交換器 親水性のコーティングで油汚れなども洗い流しやすくした熱交換器

内部クリーン

冷房や除湿を停止したあとに、暖房運転で加熱乾燥させることでカビ菌を抑制します。

カビクリーンシャワー

冷房や除湿を停止したあとに、オゾンなどを利用してエアコン内のカビを除去します。

はずせるボディ

前面パネルやフラップ(ルーバー)を取り外すことができる機能。
直接カビを抑制するわけではありませんが、お手入れしやすいことで結果的にカビを防ぎます。

ピュアミスト

空気中の菌を「ピュアミスト」が包み込んで閉じ込めることで活動を抑制します。
繊維のニオイも除去します。

富士通ゼネラルのカビ対策機能

富士通ゼネラルのエアコンは独自の除菌・抗菌システムはないものの、業界初の熱交換器を加熱して除菌する機能や、汚れのつきにくい熱交換器・送風ファンなど基本を抑えた防汚機能でカビを発生しにくくしています。

熱交換器加熱除菌 エアコン内部の熱交換器(アルミフィン)を、ドレンパンにたまった水ごと55℃以上に加熱して除菌する機能。
付着してしまったカビ菌にも効果を発揮します。
抗菌・防カビコーティング送風ファン 抗菌・防カビ加工された送風ファン。
ハイドロフィリック熱交換器 抗菌・防カビコーティングを施した熱交換器。
結露水で熱交換器自体を自動洗浄します。

日立のカビ対策機能

日立のエアコンは内部の清潔さに配慮した仕組みが随所に見られます。

特に「熱交換器凍結洗浄」や「ファンロボ」はとても気になる機能ではないでしょうか。

熱交換器自動洗浄(凍結洗浄) 熱交換器を凍結させることで霜を発生させて、一気に溶かし汚れを強力に洗い流します。
通常の冷房時の結露水の7倍~200倍の洗浄水を得られます。
カビバスター 運転しているときも停止しているときもエアコン内部を見張り、湿度30%以下にキープする加熱・低湿制御をしてカビを抑制します。
ヒートアタック  
ファンロボ 日立だけの機能で、送風ファンの羽根の先端に溜まりやすいホコリをファン清掃ブラシでかき落とします。
ステンレス・クリーンシステム 通風路やフラップ、ドレンパン(水受け皿)、フィルターなどにステンレスを採用することで、カビ菌や汚れを抑制します。
ステンレスは金属イオンでカビを抑制する上、帯電しにくいのでホコリの付きやすさが6割削減できます。
ステンレスイオン空清

プラズマ電極から放出された電子によってホコリを帯電させてステンレスフィルターで捕集します。

ビッグウェーブファン 素材自体に銀イオンを添加して除菌する送風ファン。

親水コーティング・チタン熱交換器

親水性のコーティングで汚れをつきにくくします。
チタン熱交換器はチタン触媒によって除菌・防カビの効果もあります。


シャープのカビ対策機能

シャープのエアコンの特徴は言わずとしれたプラズマクラスターイオン。

プラズマクラスターパトロール エアコンの停止時に、温度20℃・湿度70%を上回ると自動的にプラズマクラスターが運転を開始して、高濃度イオンでカビの発生を防ぎます。
プラズマクラスター内部清浄 運転停止後、エアコン内部にプラズマクラスターイオンを充満させながら乾燥させます。
外せルーバー 吹出口のルーバーが外せる構造にすることで掃除しやすくなっています。
防カビ加工送風路&ドレンパン 防カビ加工を施した送風路とドレンパンでカビを抑制。
ホコリレスファン

送風ファンの素材自体に帯電防止剤を練り込んでホコリの付着を約80%低減します。

親水性コーティング熱交換器 親水性のコーティンを施した熱交換器で汚れを洗い流しやすくします。

東芝のカビ対策機能

東芝のエアコンは特に特徴がなく、あまりカビ防止に力を入れていない印象です。

マジック洗浄熱交換器 冷房・除湿運転時に結露水で汚れを洗い流しやすくした特殊樹脂コーティングの熱交換器。
1リットル洗浄 運転停止中に「おそうじ」ボタンを押すことで、1時間に約1リットルの結露水を発生させて熱交換器についた汚れを洗い流します。
セルフクリーン 運転停止後に送風路を自動乾燥させます。


エアコンのカビにくい機種のおすすめは?

カビが生えにくいという点では、最も力を入れているエアコンは日立の機種ではないでしょうか。

最上位機種にしか搭載されていなかった「熱交換器凍結洗浄」が全シリーズへ、「ファンロボ」は3シリーズへ拡充されたことで、さらに日立の「白くまくん」の魅力が高まりました。

購入時の価格面でも選びやすくなって、とにかくカビ防止を優先したい人は日立の白くまくんがおすすめです。

自分で掃除してカビや汚れを防止したい人、カビが生えたり汚れたりしたら自分で掃除したいという人は、三菱電機の霧ヶ峰がおすすめだと思います。

実際にエアコンクリーニングをしてきた経験から、「ナノイーX」や「ストリーマ」、「プラズマクラスター」といった機能の効果は、正直あまり実感できていません。
「無いよりはマシ」程度かもしれません。

エアコンは設置するのに工事費がかかる事もあって、よく調べずに購入してしまうと気に入らないからと言って簡単には買い換えられません。
何を優先したいのか頭の中をよく整理してから購入するようにしてください。



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