エアコンを買いかえたらザーーッという音がうるさくて眠れません。
買い替え直そうと思うんですが、どのメーカーにしたら良いですか?
先日、読者さんからこんなご相談を頂きました。
私は今まで約16年間エアコンの分解クリーニングをプロとしてやってきましたが、室内機の音がうるさくて眠れないという相談は初めて。
しかも、うるさいという音の種類が風切り音とのこと。
「今どきのエアコンで眠れないほど風切り音がうるさい機種なんてあるんだ・・・」
と、興味がわいたので私なりに原因を考えてみました。
エアコンの室内機の風切り音の対策についても紹介しています。
購入する時の機種の選び方によっても風切り音は大きく変わってくるので、購入を検討している方にも参考になると思います。
エアコン室内機のうるさい音の原因
ひとくちに「エアコンの室内機がうるさい」と言っても、原因となる音にはいろいろな種類があります。
- お掃除機能の動作音
- 空気清浄機能の動作音
- 風向ルーバーの動作音
- ドレン水が流れる音
- 冷媒が流れる音
- 本体がきしむ音
- 送風ファンの風切り音
ざっと挙げただけでもこれだけの騒音の種類が考えられるわけです。
ここでは、その中の「送風ファンの風切り音」だけについて書いてみたいと思います。
エアコン室内機がうるさい3つの原因
エアコンの室内機の風切り音がうるさい原因には下の3つの原因が考えられます。
- エアコンの機種が不適切
- 使い方が不適切
- エアコンが汚れている
3つ目の「エアコンが汚れている」というのは、今回の相談内容である新品のエアコンには関係ありませんが、エアコンの汚れは風切り音に大きく関係してくるので挙げておきました。
順番に説明していきます。
1.エアコンの機種が不適切でうるさい
エアコンの風切り音がうるさいことに関係する機種の違いは2つあります。
- エアコンの大きさ(適応畳数)
- エアコンのタイプ
の2つです。
エアコンの大きさ(適応畳数)が合っていない
風切り音の原因として真っ先に思いつくのは、1つ目のエアコンの大きさ(適応畳数)が合っていないこと。
エアコンは、部屋の広さや建物の材質の違いによって、適した能力のエアコンを設置する必要があります。
部屋の広さに対して小さいエアコンを設置してしまうと、それだけ強いパワーで運転している時間が長くなります。
当然、送風ファンは勢いよく回ることになるので風切り音が大きくなってしまいます。
仕組みやファンの形状などは違いますが、このあたりは扇風機と同じなのでわかりやすいかと思います。
エアコンのタイプがよくない
エアコンのタイプが良くないとはどういうことかと言うと、「送風ファンが小さいエアコン」という意味です。
エアコンの各メーカーはコンパクトタイプのエアコンをラインナップしていますが、「横幅が狭い」「奥行きが薄い」といったタイプのものです。
一見、コンパクトさというのはメリットのように見えますが、実はあまりいいことはありません。
もちろん、部屋の設置場所に制約がある場合は、コンパクトなエアコンじゃないと設置できないこともあるので大きなメリットになります。
ただ、コンパクトさと引換えになるのは、”音”なんです。
エアコンの室内機をコンパクトにすると、結果的に送風ファンの風切り音がうるさくなる原因になってしまうので、寝室などに取り付けるエアコンの購入を検討している人は注意したほうが良いかもしれません。
エアコンの奥行きがコンパクトなエアコンはうるさい
今回相談してこられた読者さんが購入したエアコンは、ダイキンの「うるさらミニ(Mシリーズ)」というエアコンでした。
うるさらミニ(Mシリーズ)は、名前の通りコンパクトさが売りの機種です。
このうるさらミニ(Mシリーズ)と、フラッグシップモデルのうるさらX(Rシリーズ)の室内機の寸法を比較したのが下の表です。
うるさらX Rシリーズ |
うるさらミニ Mシリーズ |
高さ:295mm 横幅:798mm 奥行:370mm |
高さ:295mm 横幅:798mm 奥行:272mm |
比較してわかるように、RシリーズとMシリーズは、高さと横幅は全く同じなのに対して、奥行のみほぼ10センチの違いがあります。
この厚みの差の約10センチは、
- 送風ファンの直径
- 熱交換器の厚み
に大きく関わってきます。
室内機をコンパクトにするためには、設計上どうするかと言うと、
- 送風ファンの直径を小さくする
- 熱交換器を重ねて分厚くする
といったことをします。
熱交換器を分厚くすると・・・
風が通過する時の抵抗が大きくなるので、ファンのモーターをパワフルに回す必要があります。
送風ファンの直径を小さくすると・・・
直径の大きなファンと同じ風量の風を送るために、ファンの回転を速くする必要があります。
ファンを強く速く回すほど風切り音は大きくなります。
実際のファンの直径については調べてないのでわかりませんが、例えばファンの直径が5cm違うだけでも回転数が相当変わってきますし、風切り音もかなり変わります。
エアコンファンの横幅が狭いほどうるさい
加えて、ファンの横幅によっても風切り音の違いがあります。
室内機の幅を見てみると、RシリーズもMシリーズも79.8cmとなっており、寸法上は同じです。
ただ、吹出口の幅を見てもらうと分かると思いますが、Rシリーズは右端いっぱいまで吹出口になっています。
対して、Mシリーズは吹出口の右側に余白があるのがわかると思います。
これはMシリーズのほうが中にある送風ファンの横幅が短いことを意味しています。
ダイキンに限りませんが、吹出口が幅いっぱいになっているものは、ファンモーター自体が非常に薄型で、なおかつファンの中に組み込まれているような構造になっているので、送風ファンの横幅はほぼ室内機の幅一杯まであります。
対してMシリーズのように吹出口の右側に余白がある機種は、ファンの横にファンモーターがあるんですね。
そのため、ファンモーターの幅の分、ファンの横幅は短くなっています。
ファン自体の横幅が長いということは、それだけたくさんの風を送れるので、ファンの回転数を落とすことができます。
逆にMシリーズはファンの横幅が短い分だけ、ファンを速く回さなければいけないわけです。
エアコンを選ぶ時は、設置する上で寸法上の制約がある場合以外は、コンパクトタイプではないものを選ぶのをおすすめします。
2.使い方が適切じゃないからうるさい
当たり前のことですが、エアコンはスイッチを入れてすぐの立ち上がり時は、フルパワーで運転するので当然うるさいですよね。
室温が設定温度に達した状態になれば、送風ファンはゆっくり回るのでかなり静かになるはずです。
寝る直前にスイッチを入れていて音がうるさいということであれば、早めにスイッチを入れるようにして、寝る頃には部屋全体が十分に冷えている状態にしておけば、眠れないほどうるさいということは余程おきないように思います。
猛暑で暑さの厳しい時期は、家の壁や天井などがかなり温まっていて、寝ている間に冷房がついたり消えたりを繰り返すことがあります。
こういった場合の風切り音が気になるという場合は、設定室温を低めにしておいて毛布を重ねて使うなどの工夫が必要な場合もでてくるかもしれません。
もしかしたら「以前のエアコンと同じ使い方をしているのに!」といった不満をもつかもしれませんが、安眠第一で臨機応変に対処しましょう。
3.エアコンが汚れているからうるさい
エアコンの汚れが原因でうるさいというのは、新品の設置したてのエアコンには当てはまりませんが、エアコンの風切り音は汚れがひどくなるのに比例して大きくなるので、気にとめておくといいでしょう。
エアコンの送風ファンは1シーズンでホコリだらけになります。
ホコリがたまると、思っている以上にすぐに風量に影響が出ます。
私が仕事でお客さんのエアコンを掃除に伺うと、まともに風が出ていないことがよくあります。
エアコンを付けている状態で、細くちぎったティッシュをエアコンの吹出口にかざしてみてください。
右から左へゆっくりと動かしてみると、ところどころ風が出ていなかったり弱くなったりしていませんか?
そうなってしまっていたら、エアコンクリーニング業者にエアコン掃除を頼んだほうが良いでしょう。
お掃除のプロの目線で見たおすすめの掃除業者についてまとめた下の記事を参考にしてみてください。
まとめ
今回の相談内容は、「寝室に取り付けたエアコンの風切り音がうるさすぎて寝られないので、他のメーカーのものに買い替えたい」というものでした。
ただ、はっきり言ってエアコンの風切り音というのは、どのメーカーのものでも大差ないと思います。
通常運転している時の音なんて、耳をすましてもほとんど聞こえないくらいのはずです。
上でご説明したように、エアコンの風切り音が気になるのであれば、メーカー選びよりも機種選びに焦点を絞ってするべきでしょう。
- 能力に余裕のある機種を選ぶ
- 不必要にコンパクトな機種を選ばない
この2点を気を付けておくだけで、後悔する確率がグンと下がります。
特に寝室用のエアコンを選ぶ時は、ちょっとした音が気になり始めると眠れなくなることもあるかもしれないので、リビングなどのエアコンよりも慎重に機種選びをしたほうが良いのかもしれません。
普通はそう簡単に買い換えなんてできませんからね。
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