エアコンには内部クリーンといわれる機能が付いたものがあります。
これは最近よく聞くフィルター自動掃除機能付きエアコンの掃除機能とは違うものです。
「エアコンはフィルター自動清掃機能付きのものですか?」
エアコン分解クリーニングを業者に依頼する際、必ず確認されることです。
「内部クリーンって書いてあるけど、これはお掃除機能なのかな?」
と悩む方も多いかと思います。
内部クリーンとはなにか、お掃除機能との違いについて解説します。
「内部クリーン」の仕組みと「お掃除機能エアコン」との見分け方も説明します。
エアコンの内部クリーンはお掃除機能ではない
この内部クリーンがついているからと言って「お掃除機能付きエアコン」という訳ではありません。
「お掃除機能」と「内部クリーン」は別物です。
ただ、この二つの機能が両方ついている物も多いですけどね。
簡単に説明すると、“内部クリーン”というのは、掃除をするというよりはカビを生えにくくする機能。
エアコンを停止した時に、エアコン内部の湿気や水分を乾燥させるために送風運転をするものです。中には送風だけでなく暖房で加熱乾燥するものもあります。
“内部を乾燥させてクリーンな状態にたもちますよ”ってことですね。
対して、「お掃除機能」というのは集塵(エア)フィルターを自動で掃除する機能のこと。
一口に内部クリーンと言っても、メーカーや機種によって方法が違ったり、さらに快適に使える機能がプラスされていたりします。
今回はそんな「内部クリーン」の機能に焦点をあてて書いてみたいと思います。
シャープのプラズマクラスター除菌イオンを使った内部クリーンの仕組み
言わずと知れたシャープのプラズマクラスターイオン。
これ、一時期ほんとに流行りました。
エアコンをはじめ、空気清浄器、浴室乾燥機、洗濯機、掃除機などなど数え上げたらきりがありませんが、ほんとにありとあらゆる機器に搭載されましたからね。
付着カビ菌だけでなく、空気中の浮遊カビ菌を”除菌”できるという事でもてはやされたわけです。
そして浮遊ウィルスまで不活化してくれるという優れもの。
確かインフルエンザウィルスまで不活化するって言ってましたよね。
ブームの衰退は、掃除機に搭載されたプラズマクラスターイオンの効果が誇張されていて、検証した結果、謳っているような効果が無かった、というのがニュースになったことが発端だったように記憶してます。
とは言え、現在のシャープ製のエアコンにもちゃんと搭載されていますから、しっかりとした効果はあるもんなんだと信じたいところ。
シャープのエアコンに搭載されているプラズマクラスターイオンの発生装置は、吹き出し口の真ん中あたりに鎮座してます。
風向ルーバーについているエアコンと本体側についているものとがあります。
シャープの場合は吹き出し口から放出したプラズマクラスター除菌イオンを、エアコンのフィルター側から吸い込むことで室内機内部の除菌もしてしまおうという発想。
で、実際エアコンクリーニングの現場ではどうなのかというと。
しっかりカビ生えてます。
しかも、プラズマクラスターイオン発生装置自体にもカビがいっぱいついてるっていう状態。
これは、水滴が発生する熱交換器と吹き出し口で発生したカビが、送風ファンの風に乗って付着してるんです。
なので、やっぱりエアコン室内機本体の中にもしっかりカビ菌が繁殖しちゃってるって証拠を見せられてるようなもの。
このプラズマクラスターイオンがなかったらもっとひどい状態になってるかもしれないので、全く効果がないとは言えないんですが。
シャープの「内部クリーン」
シャープの内部クリーンは「内部清浄」という呼称になっています。
冷房運転停止後に送風または暖房運転をして内部を乾燥させます。
送風と暖房の判断は外気温によって行っていますが、外気温が24℃未満の場合は暖房運転をします。
もちろんすでに発生したカビを除去することは出来ず、外気温が24℃以上のときは送風運転のみとなるので、夏場の冷房使用時期にはほとんど気休め程度にしかなりません。
以前のシャープのお掃除機能付きエアコンは、「シャープのお掃除エアコンの仕組みと問題点」に書いたように、ホコリ処理のまずさからフィルターが目詰まりしやすくカビがひどいものでした。
ダイキンのストリーマ技術を駆使した内部クリーン機能の仕組み
ダイキンの独自技術、ストリーマとはどういったものでしょう?
ストリーマとは酸化分解力を持ったプラズマ放電の一種で、その分解力は、およそ10万℃の熱エネルギーに匹敵するそうで、これを照射することでカビ菌を抑制するものです。
ただし、実際に熱を発するわけではないので熱くなったりはしません。
この技術はエアコンだけでなく、空気清浄器などにも搭載されています。
ダイキンのストリーマ技術を使った「内部クリーン機能」の仕組みは下の様な感じです。
ストリーマ発生装置がエアコンの全面パネルを開けたすぐのところに設置されています。
で、ちなみにこれ、「内部クリーンの対象部位は、熱交換器および気流通路です。」とホームページには書かれています。
“気流通路”というのがなんともあいまいな書き方だなーと思うのですが、送風ファンを含めた吹き出し口あたりは”対象外”なんじゃないかと思うくらいカビています。
エアコンクリーニングをするとわかるのですが、一番カビが多いのは実は送風ファンだったりするので、どこまで効果があるのかはちょっと疑問が残るんですよね。
恐らく、水分が発生するのは”熱交換器”なのでその大元を除菌しとけばいいっしょ!ってことなんでしょうけど。
実際、エアコン洗浄の現場では、このストリーマが搭載されていてもしっかりカビてます。
まぁ、ストリーマを効かせた場合と、無い場合を全く同じ条件で比較すれば違いがあるのかもしれません。
ダイキンの「内部クリーン」
ダイキンの内部クリーンは冷房運転停止後に送風運転をして、最後に暖房運転を10分間して停止します。(合計約80分~120分間)
2011年以降の機種は内部クリーン機能を自動に設定しておけば、毎回冷房や除湿運転を停止したあとに内部クリーン運転をします。
ただ、2010年以前のエアコンは、自動に設定していても2週間毎にしか内部クリーンをしてくれないのでほとんど意味がありません。
なるべく毎回手動で内部クリーンボタンを押しておいたほうがいいでしょうね。面倒ですけど。
ダイキンのお掃除機能付きエアコンは、「ダイキンのお掃除エアコンの仕組みと問題点」に書いたように、フィルターの構造上湿気が抜けにくくてエアコンの中がカビやすいんですよね。
ダイキンの内部クリーンランプの点滅の意味と消す方法
ダイキンのエアコンは本体の電源ランプ付近に緑色の内部クリーンランプがあります。
フィルター自動お掃除機能付きのエアコンの場合は「内部クリーンおそうじ」という表示です。
エアコンを一定時間(1800時間)使用するとこの内部クリーンランプが点滅を始めます。
機種によっては「タイマー」ランプがオレンジ色に点滅するものもあります。
音もなく静かに点滅するだけなので、ある日「あれ?点滅してる」と気づいたりするんですよね。
この内部クリーンランプ点滅の意味は「お手入れ時期のお知らせ」です。
内部クリーンランプ(もしくはタイマーランプ)が点滅したら、ストリーマユニットを取り外して掃除してから、リモコンの「サインリセット」ボタンを押せば点滅を消すことが出来ます。
ストリーマユニットの掃除の仕方ですが、エアコン本体の前面カバーを開けてストリーマユニットを手で引っこ抜きます。
洗面器にぬるま湯と中性洗剤を数滴入れて、その中に 取り外したストリーマユニットを放り込んで1時間ほど放置します。
お湯から取り出したら水ですすいで十分乾燥させてから本体に戻せば完了です。
ダイキンの内部クリーン機能で臭いが取れない原因と対処法
ダイキンの内部クリーン機能を使っているのにエアコンから臭いがしてきたということも多いのでは。
臭いの原因はエアコン内部のカビですが、内部クリーン機能を使うとカビを予防したり不活化したりすることはできても除去することはできないので、エアコン内部に残ったカビが臭いを発している可能性が高いです。
ダイキンの内部クリーン機能でも臭いが取れなくなってしまったときの対処法は、エアコンクリーニングしかありません。
ダイキンの内部クリーンの毎回の電気代はいくら?
ダイキンの内部クリーンは毎回必要なんでしょうか?
毎回内部クリーンを使用したときの電気代がいくらになるのか気になりますよね。
ダイキンのホームページを見ると内部クリーンの電気代は毎回2円~4円となっていますが、エアコンの大きさの記載はありません。
ダイキンの内部クリーンは暖房運転を10分ほどするので、電気料金を27円/KWhとして計算します。
送風運転の電気代は1時間に1円程度しかかからないそうなので今回は無視しています。
2019年製6畳用の2.2kWのエアコンで計算すると、最大消費電力だと10分で8円~9円くらいかかる計算になりますね。
14畳用の4.0kWモデルのエアコンは、最大消費電力だと内部クリーン1回あたりの10分で17円かかる計算になります。
内部クリーンが最大出力で暖房運転しているならという計算ですので、あくまで参考までに。
パナソニックのナノイーを使った内部クリーンの仕組み
現在ナノイーはナノイーXとなってさらに効果を高めています。
ナノイーXは従来のナノイーの10倍の濃度のイオンを放出するようです。
ナノイーの仕組みは、OHラジカルを含む微粒子イオンを放出することで、菌の水素を抜き取って除菌をするというものです。
で、パナソニックのナノイー発生装置が付いている場所なんですが、思い出せません。
今回各社のイオン発生装置について書いていて改めて気づいたのですが、パナソニックだけは全く思い出せないんです。
いったいどこについてたっけ・・・。
結構な数のパナソニック製エアコンを掃除してるはずなんですけどねぇ。
はっきり言って発生装置はたいしたことなくて、結構前からある”マイナスイオン発生装置”と対して変わらないくらいのものなので、どっかに隠れてるんでしょう。
ドライヤーについてるようなのと一緒ですから。
パナソニックの「内部掃除」「内部クリーン」「カビみはり」
2016年モデル(2015年冬発売)以降のパナソニックのエアコンには「内部掃除」「内部クリーン」「カビみはり」の機能において、内部を40℃以上の高温に加熱することで、カビを乾燥させて強力に抑制する機能が付いています。
もちろんカビを取り除くことは出来ませんが、とりあえず発生したカビを殺菌することはできそうです。
温風を吹き出す暖房運転と比べて、ルーバーを開かずエアコンの室内機の中のみを高温にする機能なので、基本的には部屋の中の温度の上昇はあまりしません。
パナソニックのお掃除機能付きエアコンは、「パナソニック(ナショナル・松下電器)のお掃除エアコンの仕組みと問題点」に書いた通り全メーカーの中で最もトラブルが多くて、その結果、エアコンの中がカビやすいんですよね。
内部クリーンをしても臭いが消えないのはなぜ?
「内部クリーン」のボタンを押しても臭いが消えないのはなぜでしょう?
あくまでも「内部クリーン」はカビを予防するための機能。
内部のカビを消してくれる機能ではありません。
なので、カビの臭いがしてから内部クリーンの機能を使っても臭いは消えません。
暖房を使った内部クリーンをする機種に限られますが、冷房使用前に内部クリーンを使用することで多少はカビ臭を抑えることができます。
完全にカビの臭いを無くしたいのであれば、しっかりとした洗浄をしてくれるエアコンクリーニング業者に掃除をしてもらうしかありません。
どのメーカーの内部クリーンも無いよりはマシ程度
はっきり言って上に書いた3メーカーは結構”除菌”を大々的に謳ってますが、あくまでも実験室内での整った環境下での効果。
各メーカーが注意書きとして必ず書いているように、実際の環境での効果は保証してません。
そして、現場ではその通りに”ホントに効果あるんかい”って思うくらいカビまくってます。
「内部クリーン」というのは、冷房運転後にしばらく送風運転をして、湿気をある程度飛ばしてくれる機能ぐらいに考えておきましょう。
内部クリーンの自動設定に注意
内部クリーンの機能は、全てのメーカーで冷房や除湿運転を停止したあとに、自動で作動するように設定できます。
ただ、メーカーによっては、工場出荷時に自動設定が「入」になっているか、「切」になっているかが違います。
例えばパナソニックでは工場出荷時には内部クリーンの自動設定が「切」になっています。
他のメーカーでは最初から内部クリーンの設定は「自動」となっているようですが、一度確認してみることをお勧めします。
内部クリーンの際に暖房運転をする機種も多いので、せっかく冷えた部屋の温度が上がってしまうというデメリットがあることもおぼえておきましょう。
内部クリーンとお掃除エアコンの違いと見分け方
一般的にお掃除機能付きエアコンとは、「フィルター自動お掃除機能付きエアコン」の事で、読んで字のごとく集塵フィルターを内蔵されたお掃除ユニットが自動で掃除してくれる機能が付いたエアコンの事。
お掃除ユニットという大きな部品がついているので、エアコン分解クリーニングの際に非常に手間がかかるということで区別されているのです。
内部クリーンはただの”自動送風運転”と言い換えてもいいものなので、特別な部品は付いていないから、エアコン分解クリーニングをする上では普通のエアコン扱いなのです。
で、肝心の「お掃除機能付きエアコン」かどうかの見分け方なのですが、一番確実なのは説明書を見ること。
お掃除機能付きエアコンであれば、必ずフィルター自動運転もしくは手動運転についての説明書きの項目があります。
↓上記以外のメーカーのお掃除エアコンの内部構造はこちらを参考にしてください。
https://aircon.work/soujiosusume5-461
https://aircon.work/soujiosusume6-480
https://aircon.work/soujiosusume7-494
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事が参考になったら嬉しいです。
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