「エアコンの暖房の性能がいいおすすめのメーカーは?」
「エアコンの暖房で必須の機能はなに?」
「寒冷地仕様モデルと普通のエアコンの違いはなに?」
ひと昔前までエアコンは夏の冷房だけに使うという人が多かったですが、暖房機能が強化されたモデルが増えたきたこともあって冬の暖房器具としてメインで使用する人が増えているようです。
実はエアコンは他の暖房器具よりも暖房効率がとても高いことが広く知られるようになったことや、エコの観点からも灯油ファンヒーターなどから買い換える人が増えているんです。
今回はエアコンの暖房について各メーカーのモデルを比較してみました。
メーカーによる性能の違いや、同じメーカーの違うモデルによる違い、付いていると暖房の効きが良くなるおすすめ機能など、選び方もふまえてランキングもつくってみました。
エアコンの暖房重視なら暖房強化モデル
エアコンを冬の暖房としてメインで使用するのであれば、暖房に強いエアコンを購入することをおすすめします。
「寒冷地モデル」「寒冷地仕様」「暖房強化モデル」などと呼ばれるエアコンがおすすめです。
エアコンの暖房に強いメーカーは?
「寒冷地モデル」などの暖房が強力なモデルは全てのメーカーでラインナップされているわけではありません。
暖房が強化されたモデルがあるメーカーは、
- パナソニック エオリア「フル暖」(2シリーズ)
- ダイキン「スゴ暖」(3シリーズ)
- 富士通ゼネラル ノクリア「ゴク暖」(2シリーズ)
- 三菱電機 霧ヶ峰「ズバ暖」(3シリーズ)
- 東芝 「暖太郎」(2シリーズ)
となっています。
逆に、日立とシャープには暖房強化モデルは存在しません。
下で各メーカーの暖房強化モデルについて詳しく紹介します。
普通のエアコンと寒冷地モデルの違いは?暖房強化モデルとは?
気になる普通のエアコンと暖房が強化されているモデルの違いはなんでしょうか?
簡単に言うと室内機側と室外機側でそれぞれ下のような違いがあります。
- 室内機:温風の吹き出し方法や温度
- 室外機:霜取り運転や凍結予防ヒーターなどの低温対策
室内機:温風の吹き出し方法や温度の違い
暖房が強化されているエアコンの室内機には、床面や人の足元を効率良く温めるために温風の吹き出し方法をコントロールする機能が付いていたりします。
最大60℃前後のかなりの高温風が出るものや、不在時に室温が一定以下にならないようにしてくれる機能などもあります。
- 温度センサー
- 人感センサー
- AIセンサー
といったセンサー類を駆使して、部屋の中にいる人を検知して風を送るといった賢い機能を持ったエアコンが主流です。
ただ、冷房と違って暖房は上に上がろうとする温かい空気をいかにして床面に届けるかという難題と、ソファーなどの家具が邪魔をしてしまうという問題があるので、よほど開けた空間のあるリビンダイニングくらいしか理想通りの効果は得られないかもしれません。
他には風向きを変えるためのルーバーやフラップに違いがあったり、特別な運転モードを持っていたりするものもあります。
ルーバーやフラップを大きくして遠くへ風を届けられるようにしていたり、真下の壁に沿わせて温風を吹き出せるようにしていたりとメーカーによっていろいろな工夫がされています。
壁や床の温度を監視して、温度状況に応じて吹き出す温風の高さや方向を変えるといった高度な運転をするものもあります。
各エアコンメーカーが売りにしている暖房機能については下で紹介しています。
室外機:霜取り運転などの低温対策
暖房が強化されているエアコンの室外機には、外気温が低い時のための低温対策がされています。
メーカーやモデルによって違いますが、霜取り運転中も蓄えた熱で暖房運転が停止しないようなものや、室外機の凍結を防ぐヒーター、着雪を防ぐファン運転などがあります。
寒冷地モデルの暖房低温能力「-15℃時暖房能力」に注目
カタログなどの仕様表に表記されている低温暖房能力の表記は、
・「外気温2℃時」
・「外気温-15℃時」
の2種類ありますが、そのうち「暖房低温能力(外気温-15℃時)」は寒冷地モデルのみに記載がある数値です。※メーカーによって名称が多少違います。
暖房能力を数値で表すこの数値は、大きいほど良く、数値が1違うだけで大きな違いがでます。
各メーカーの暖房強化モデルエアコンと通常モデルの価格差は?
暖房が強化されている寒冷地仕様のエアコンは、実際に購入するといくらくらい高くなるのでしょうか。
当然、搭載されているコンプレッサーなども強力になり、凍結予防のヒーターといった通常のエアコンよりには付いていない部品などが必要になったりします。
そのため、どうしても通常のエアコンより価格が高くなってしまうのは否めません。
各メーカーの寒冷地仕様のエアコンと、ほぼ同クラスの通常タイプのエアコンの実売価格を比較してみました。
パナソニック
フル暖 UXシリーズ 暖房14畳まで CS-UX402D2 27万円台
Xシリーズ 暖房14畳まで CS-X401D2 18万円台
フル暖 TXシリーズ 暖房14畳まで CS-TX402D2 20万円台
EXシリーズ 暖房14畳まで CS-EX401D2 13万円台
ダイキン
スゴ暖 DXシリーズ 暖房14畳まで S40YTDXP-W 18万円台
Rシリーズ 暖房14畳まで S40YTRXP-W 14万円台
スゴ暖 HXシリーズ 暖房14畳まで S40YTHXP-W 15万円台
Cシリーズ 暖房14畳まで AN40YCP-W 17万円台
スゴ暖 KXシリーズ 暖房10畳まで S28YTKXP-W 11万円台
Eシリーズ 暖房10畳まで AN28YCS-W 10万円台
富士通ゼネラル
ゴク暖 ZNシリーズ 暖房14畳まで AS-ZN402M2 25万円台
Zシリーズ 暖房14畳まで AS-D401L 9万円台
ゴク暖 DNシリーズ 暖房14畳まで AS-DN402M2 15万円台
Dシリーズ 暖房14畳まで AS-Z401L2 13万円台
三菱電機
ズバ暖 FDシリーズ 暖房14畳まで MSZ-FD4022S 37万円台
FZシリーズ 暖房14畳まで MSZ-FZ4021S 26万円台
ズバ暖 ZDシリーズ 暖房14畳まで MSZ-ZD4022S 26万円台
Zシリーズ 暖房14畳まで MSZ-ZW4021S 11万円台
ズバ暖 XDシリーズ 暖房14畳まで MSZ-XD4022S 19万円台
Xシリーズ 暖房14畳まで MSZ-X4021S 11万円台
東芝
暖太郎 VNシリーズ 暖房10畳まで RAS-285VN 10万円台
H-Mシリーズ 暖房10畳まで RAS-H281M 6万円台
暖太郎 DRNEシリーズ 暖房14畳まで RAS-406DRNE 19万円台
H-Rシリーズ 暖房14畳まで RAS-401R 19万円台
同じメーカーの同じクラスのエアコンを比較しても、かなりの価格差があるのがわかります。
各メーカー別の暖房強化モデルエアコンの機能と特徴は?
どのメーカーも暖房強化モデルエアコンの特徴は似ていますが、暖房運転を止めずに霜取り運転をする機能など、絶対に抑えておきたい機能をメーカーと機種別にまとめました。
どのメーカーも寒冷地仕様モデルの室外機にはすべてドレン水の凍結予防用ヒーターが搭載されています。
パナソニックエアコン エオリアの寒冷地仕様「スゴ暖」の特徴
パナソニックの暖房強化モデルは2シリーズ。
・UXシリーズ
・TXシリーズ
UXシリーズにはハイブリッドエネチャージという機能によって、暖房を止めずに霜取り運転を行うことができます。
これは、コンプレッサーの排熱をチャージ(蓄熱)しておいて暖房エネルギーとして活用する機能です。
ただ、なぜかTXシリーズにはエネチャージが搭載されていないので、あまりおすすめしません。
TXシリーズには代わりに暖気チャージという機能が付いていますが、霜取り運転時、暖房を止める前に予め室温を上げておくというもので、その分温度変化が大きくなるため快適とは言えない機能です。
逆に暖房強化モデルではないLX(22年モデル)・Xシリーズにはエネチャージが搭載されているという不思議なラインナップになっています。
LX/Xシリーズでも吹き出し温度約60℃を実現しているので寒い地域でも問題ないでしょう。
LXシリーズは2022年モデルから登場したシリーズですが、ダイキンの無給水加湿と同じ機能が搭載されているので、エアコンの暖房を使うと喉がカラカラになるという人にはこちらがおすすめです。
エネチャージなしでは霜取り運転中に室温が5~6℃低下するのに比べて、エネチャージありの場合は室温低下が1℃以下に抑えられるとのことです。
UXシリーズ
通常モデルのXシリーズの暖房強化版。
暖房強化モデルではないLX/Xでも霜取り中に暖房を止めないエネチャージや、室内機の吹き出し温度60℃は可能ですが、室外機のドレン水の凍結予防ヒーターは付いていないので、外気温度が低い地域ではこちらのUXシリーズを選択したほうが良いでしょう。
TXシリーズ
通常モデルのEXシリーズの暖房強化版。
EXと同じく奥行きがコンパクトなシリーズ。
EXシリーズとの大きな違いは室外機の凍結予防ヒーターくらい。
もう一つの暖房強化モデルであるUXに搭載されているエネチャージは搭載されておらず、代わりに暖気チャージという機能が搭載されています。
エネチャージ搭載機種では吹出口温度が60℃なのに対して、こちらの機種の暖気チャージでは10℃ほど低くなり、足元温度で約8℃ほど低くなるようです。(外気温2℃時)
設置場所の制約でコンパクトな機種しか設置できない場合を除いて、暖房目的であまり選択する意味はないのではないでしょうか。
コンパクトと言っても奥行きが薄いというだけですし。
ダイキンの寒冷地仕様エアコンの特徴
ダイキンエアコンの寒冷地仕様モデルは3シリーズ。
- D/DXシリーズ:ハイグレードモデル
- H/HXシリーズ:コンパクトサイズモデル
- KXシリーズ:ベーシックモデル
設置場所の制約でコンパクトモデルを選択しないといけない場合を除き、DシリーズかKXシリーズから選択することになります。
Dシリーズ(ハイグレード)とKXシリーズ(ベーシックグレード)の違いは主に下の通りです。
- 垂直気流
- セルフウォッシュ熱交換器
- フィルター自動お掃除
- AI快適自動運転(人・床・壁センサー)
ただ、ダイキンは寒冷地仕様であっても、パナソニックや三菱電機のように霜取り運転中も暖房を止めないという機能がないので、暖房機能を重視して積極的に選ぶメーカーではないように思います。
富士通ゼネラル ノクリアの寒冷地仕様「ゴク暖」の特徴
富士通ゼネラル ノクリアの寒冷地モデルである「ゴク暖」は2シリーズ。
- ZNシリーズ
- DNシリーズ
DNシリーズはコンパクトモデルなので設置場所に制約がある場合を除いて実質ZNシリーズのみとなります。
富士通ゼネラルの寒冷地モデルにはパナソニックや三菱電機のような霜取り運転中に暖房を止めない機能がないため、暖房機能を重視するのであればあまり積極的に選ぶメーカーではありません。
富士通ゼネラルの「ゴク暖」は霜取り運転の前に予め部屋を暑くしておいてから暖房を止めるという方式なので、室温の変化が大きくなって快適とは言えない機能です。
パナソニックの暖気チャージという機能と同じですね。
三菱電機エアコン霧ヶ峰の寒冷地仕様「ズバ暖」の特徴
三菱電機の霧ヶ峰「ズバ暖」には3シリーズありますが、おすすめはFDシリーズ。
FD・ZD・XDの3シリーズのうち、XDはいろいろな機能が削られているのでおすすめしません。
FDシリーズとZDシリーズの大きな違いはファンの形状と位置。
吹出口のカビやホコリなどが気になる方で自分でお掃除したい人は断然FDシリーズをおすすめします。
プロペラ式のファンが2つ搭載されていることで、左右の温風の温度や強さなどを別々にコントロールできます。
暖房能力的にはどちらのシリーズもほぼ変わりません。
三菱電機の霧ヶ峰「ズバ暖」の主な寒冷地機能
デュアルオンデフロスト回路(2019年世界初搭載)※FD・ZDシリーズのみでXDシリーズにはなし
熱交換器を上下に二分割し、半分は霜取り運転をしながら、残り半分で暖房運転を続けることで霜取り運転中でも暖房運転が止まらない霜取りと暖房を同時に行う技術。
熱交換器を大容量化(通常機種の1.6倍)することで半分ずづの運転でも46℃前後の吹き出し温度を維持します。(FD・ZDシリーズで外気温2℃のとき)
外気温が-15℃時でも最高約60℃の温風をだせます。
FDシリーズ
通常モデルであるFZシリーズの暖房強化版。
- 2温度2気流:2つの大型プロペラファンで2つの異なる温度や風速の気流を作り出せる。
- よごれんボディ:左右フラップ・上下フラップがかんたんに取り外せて、通風路も簡単にお掃除がしやすい構造。特殊な構造で吹出口にはファンが存在しません。
ZDシリーズ
急速Wヒート:温風を再度吸い込んで熱交換器を素早く温める機能。ZDシリーズのみの機能。
よごれんボディ:上下フラップがかんたんに取り外せて、左右フラップを両側に開くことができるので、ファン・通風路も比較的簡単にお掃除がしやすい構造。
XDシリーズ
ズバ暖のコンパクトシリーズ
暖房を止めずに霜取りする機能がないので、寒い時に暖房が止まったりします。
東芝エアコンの寒冷地仕様「暖太郎」の特徴
東芝の寒冷地モデルエアコン「暖太郎」は2シリーズ。
- DRNEシリーズ
- VNシリーズ
VNシリーズは薄型のコンパクトエアコンなので、設置場所に制約がなければDRNEシリーズを選ぶことになります。
東芝の寒冷地モデルエアコン「暖太郎」には、パナソニックや三菱電機のような除霜運転中に暖房を止めない機能はないので、暖房機能重視であれば積極的に選択するメーカーではありません。
【2022年最新】寒冷地仕様エアコンのまとめとランキング
暖房機能を重視してエアコンを選ぶなら、
- 三菱電機の寒冷地仕様エアコン「霧ヶ峰 ズバ暖」FDシリーズかZDシリーズ
- パナソニックの寒冷地仕様エアコン「エオリア フル暖」UXシリーズ
の2メーカー3機種をおすすめします。
理由は、ノンストップ暖房が実現できる機能を搭載しているからです。
なかでも三菱電機のズバ暖に搭載されている「 デュアルオンデフロスト回路 」は、熱交換器を大容量化した上で、上下に二分割して交互に霜取り運転をするというものです。
メーカーによれば霜取り運転中の室温低下は0℃となっているので、パナソニックのエネチャージの室温低下1℃よりも優秀であると言えます。
パナソニックのエネチャージは本来は放出していた熱を蓄えて霜取り運転に使うとのことですが、極寒の状況でどれほど熱を蓄えておけるのか個人的にはちょっと疑問が残ります。
なので、暖房に強いエアコンメーカーのおすすめランキングを作るとすれば、
- 1位 三菱電機
- 2位 パナソニック
とさせてもらいます。
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